日本の天然記念物、だけど絶滅したといわれるニホンカワウソ。茶色の毛皮に、長い体と細長いしっぽ。今から50年前(1965年)、四万十川の鮎がたくさんかかる瀬で、鮎漁の網に引っかかり、こと切れていたカワウソは剥製となって、高知県立のいち動物公園に展示されています。上の写真2枚は、高知県立のいち動物公園で撮った写真です。
日本中に生息していたカワウソ
昔は、北海道から本州、四国、九州など沿岸部や、あちこちの島にもに生息していたという、ニホンカワウソ。日本中の川と海沿いに数多く生息していたカワウソですが、保温性に優れたその毛皮を目当てに乱獲され、数が激減してしまったそうです。
1928年に、ニホンカワウソの捕獲は禁止となったものの、減少は止まらず、とうとう高知県の南西部と愛媛県とにわずか生息するまでになりました。そして、高知県の須崎市新庄川で最後に目撃されたのが、1979年。その目撃を最後に、それ以後生息の確認は得られていません。
四万十川で発見されたカワウソ
四万十町轟(とどろ)の瀬で、鮎漁の網に引っかかっていたカワウソ。発見された時には、すでにこと切れていたようですが、その体はまだ温かかったそうです。
体長70センチ
体重は8キロ
尾の長さは50センチ
茶色の毛皮に、長い体と細長いしっぽ。
カワウソは、憎めない顔をしていますが、けっこう獰猛な動物です。夜行性で、魚、テナガエビ、カエルやカニなどを食します。発見されたカワウソも、鮎を食べようとして網にかかってしまったのでしょうか。
剥製にされたこのカワウソは、高知県立のいち動物公園で展示されていましたが、発見された川のそばに建つ四万十ヤイロチョウの森「ネイチャーセンター」で、一時里帰り展示され、50年ぶりに発見した人とも再会を果たしていました。
子どもの好きなカワウソ
うちの子どもは大の動物好きで、特にカワウソが好きです。小学生の時は、のいち動物公園での飼育体験やお泊り動物園にも参加していて、熱心に観察をしていました。コツメカワウソの担当になった時は、エサの魚の独特の匂いがする園舎の床を、棒ずりでごしごしと洗い流したり、カワウソがお気に入りの寝床の麻の袋を取り替えたりと、うれしそうにせっせとお掃除をしていました。
高知県立のいち動物公園には、ユーラシアカワウソ、ツメナシカワウソ、コツメカワウソの3種類がいます。また、しまんトロッコが停車する、JR予土線松野駅に向かい側にある、愛媛県松野町の「虹の森公園おさかな館」にも、東南アジアに生息するコツメカワウソたちがいます。ここの、四万十川の淡水魚がたくさんいる水族館「虹の森公園 おさかな館」も必見です。
カワウソ、かっぱ伝説
今は、動物園でしか見られなくなったカワウソたち。昔たくさんいたニホンカワウソはカッパ伝説の動物とも言われています。60代、70代の人に聞くと、子どもの頃、夜、川でチャポンチャポンという音をよく聞いたことがあるそうです。それは夜行性のカワウソが川で泳いでいた音だったのかもしれませんね。
夜の四万十川で、チャポンチャポンという音が聞こえたら、この川のどこかに、ニホンカワウソがいて、夜ごとに鮎を捕まえて口にくわえながら走っているんじゃないかと、想像するのは私だけではないでしょうね、きっと。
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