四万十川のうなぎ漁「コロバシ」とは?仕掛け筒で獲る伝統漁法と地獄漁の名前の由来

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四万十川 文化・歴史

四万十川といえば、沈下橋や清流の風景を思い浮かべる方が多いかもしれません。

でも、地元で暮らしていると、川は眺めるだけの場所ではありません。

鮎を獲る川。
川エビを獲る川。
そして、天然うなぎを獲る川でもあります。

私が小さいころ、夏になると、父と一緒に四万十川へ「コロバシ」を漬けに行った思い出があります。

コロバシとは、うなぎを獲るための仕掛け筒のことです。

夕方、川の中に仕掛けておき、翌朝早く引き上げます。

「うなぎが入っちゅうろうか?」

そんなことを思いながら、父のあとをついて川へ下りたことを、今でもよく覚えています。

今回は、四万十川のうなぎ漁で使われる「コロバシ」という仕掛けについて、地元の思い出とともに紹介します。

※四万十川でうなぎを獲るには、地域ごとの漁業ルールや鑑札が必要です。この記事は、四万十川の川漁文化を紹介するもので、無許可での漁をすすめるものではありません。実際に釣りや漁をする場合は、必ず該当する漁協などで確認してください。

もくじ

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コロバシとは、うなぎを獲るための仕掛け筒

コロバシとは、うなぎを獲るための仕掛け筒です。

昔ながらのものは、竹や木で作られた長細い箱のような形をしています。

最近では、プラスチックの筒などを使って、自分で作る人もいます。

夕方に川の中へ仕掛けておき、翌朝早く引き上げます。

うなぎは夜に動く魚なので、夜のうちに餌の匂いに誘われて、仕掛けの中へ入るわけです。

いったん筒の中に入ると、外へ出にくい構造になっています。

この仕掛けを、地元では「コロバシ」と呼んでいます。

名前の由来ははっきりとはわかりませんが、川の中へ転がすように置くことから「コロバシ」と呼ばれるようになったのかもしれません。

子どものころ、父とコロバシを漬けに行った思い出

私にとってコロバシは、ただの漁具ではありません。

小さいころの夏の思い出そのものです。

夕方、父と一緒にコロバシを持って、四万十川へ下りていきます。

川へ下りる道を、父のあとについてトコトコ歩く。

浅瀬に入ると、水が足にあたって、ひんやり気持ちいい。

川の中へ仕掛けを置きながら、

「明日の朝、入っちゅうろうかねえ」

と、わくわくしたものです。

そして翌朝。

まだ朝の空気が涼しいうちに、また父と川へ向かいます。

コロバシを水の中から引き上げる時、中の水がザーッと落ちていく音がします。

私は、あの音が大好きでした。

ずっしり重さがあって、中で何かが動く気配があると、

「入っちゅう!」

と胸が高鳴ります。

天然うなぎが入っていた時のうれしさは、今でも忘れられません。

コロバシは川の匂いになじませる

うなぎは、とても警戒心の強い魚です。

新しい匂いがする仕掛けには、なかなか入らないとも言われます。

そのため、コロバシはしばらく川の中につけて、川の匂いになじませるのがよいそうです。

新品の仕掛けをそのまま入れるより、川の水や泥の匂いに自然になじんだものの方が、うなぎも警戒しにくいのでしょうね。

四万十川沿いの道の駅などでも、手作りのコロバシを見かけることがあります。

地元の人の中には、自分で材料を工夫して仕掛けを作る人もいます。

川漁は、魚を獲るだけではなく、道具を作る知恵も含めて文化なのだと思います。

コロバシの形を見てみたい方へ

↑上の商品リンクの仕掛けは、海釣りなどでも使われるプラスチック製のものですが、うちの家族はこのような形の仕掛けを好んで使っています。

地元のおんちゃん達は、自分で木製や竹かごでコロバシを作る人が多いです。形を見るだけでも、コロバシがどんな仕掛けなのかイメージしやすいかと思います。

うなぎを獲るには地域ごとのルールや鑑札が必要です。

商品リンクは、あくまで仕掛けの形を知る参考としてご覧ください。

コロバシに入れる餌はミミズや川の小魚

コロバシには、うなぎを誘うための餌を入れます。

昔からよく使われるのは、

・ミミズ
・川の小魚
・川エビ
・ハヤゴ

などです。

中でも、ミミズは定番です。

畑を掘ってミミズを捕まえ、コロバシの中に何匹か入れます。

地元では、大きなミミズのことを「カンタロー」と呼ぶ人もいます。

カンタローは、正式にはシーボルトミミズといわれる大きなミミズです。

体長が30センチほどになるものもあり、初めて見るとびっくりします。

体の色は紫色を帯びていて、普通のミミズとはかなり雰囲気が違います。

人によっては、このカンタローがうなぎに良い餌だと言います。

関連記事 シーボルトミミズ、別名カンタローの移動

ただ、餌については地域や人によって考え方が違います。

「ミミズが一番」という人もいれば、「川エビがいい」という人もいます。

こういう話を聞くのも、川漁文化のおもしろいところです。

コロバシは「地獄漁」とも呼ばれる

コロバシは、地域によっては「じごく」と呼ばれることもあるそうです。

いったん仕掛けの中に入ったうなぎが、外に出にくい構造になっているからです。

うなぎにとっては、たしかに「地獄」かもしれません。

昔の人の名づけ方は、少し怖いけれど、うまいなと思います。

「地獄漁」という名前だけ聞くと物騒ですが、仕掛けの特徴をよく表した呼び名ですね。

四万十川周辺では「コロバシ」と呼ぶ人が多いですが、地域によって呼び方が違うのもおもしろいところです。

天然うなぎはお腹が黄色い?

天然うなぎは、お腹が黄色っぽいとよく言われます。

実際に四万十川で獲れた天然うなぎを見ると、お腹のあたりが黄色く見えるものがあります。

もちろん、見た目だけで簡単に判断できるものではありません。

ただ、地元では昔から、

「天然は腹が黄色い」

という言い方を聞くことがあります。

川で育ったうなぎは、流れの中で動き、自然の餌を食べています。

その姿を見ると、ただの食材というより、川の生き物そのものだと感じます。

獲れたて四万十川の天然うなぎ
獲れたての四万十川の天然うなぎ
天然うなぎのお腹は黄色い
天然うなぎのお腹は黄色いのです

四万十川でうなぎを獲るには鑑札が必要

ここは、とても大事な点です。

四万十川でうなぎを獲るには、鑑札が必要です。

うなぎだけでなく、鮎などを獲る場合にも、地域ごとの漁業ルールがあります。

勝手に仕掛けを入れたり、無許可で獲ったりすることはできません。

密漁は厳しく取り締まりの対象になります。

四万十川といっても、上流と中流・下流で関係する漁協が違います。

実際に釣りや漁をする場合は、必ずその場所を管轄する漁協や関係機関に確認してください。

川の恵みを楽しむためには、川のルールを守ることが大切です。

四万十川のうなぎ文化も、川と人との約束の上に成り立っています。

天然うなぎを食べたい方へ

四万十川の天然うなぎを食べてみたいという方もいると思います。

ただ、天然うなぎはいつでも手に入るものではありません。

漁の時期や天候、川の状況にも左右されます。

また、天然ものは数にも限りがあります。

トロッコ仲間のTさんが、漁の許可と販売の許可を持っていて、夏の間に獲れた天然うなぎをさばいて販売しています。

Tさんのうなぎは、川で獲れた天然うなぎ。

タレも自家製で、うなぎの骨を焼いて、地元の日本ミツバチのはちみつを入れる秘伝の味だそうです。

聞いただけで、お腹がすいてきますね。

さばく前のうなぎ
さばく前、これが「まな板の上のうなぎ」
うなぎを開いたところ
うなぎを開いたところです。こんなにきれいに開くのは難しいのですよ。

※Tさんは、通販ショップで鮎やウナギを冷凍パックにして販売しています。

BASEショップ「四万十川の天然もん」

四万十川のうなぎ文化を残していきたい

コロバシでうなぎを獲る。

夕方に仕掛けを入れ、翌朝に引き上げる。

餌を工夫し、川の流れを見て、仕掛ける場所を考える。

これは、ただ魚を獲るだけの話ではありません。

川と一緒に暮らしてきた人たちの知恵です。

私にとっては、父と一緒に川へ下りた夏の思い出でもあります。

今は、昔ほど気軽に川漁をする時代ではなくなりました。

資源を守ることも大切ですし、ルールを守ることも必要です。

それでも、四万十川には、こうした川漁の文化があったことを残しておきたいと思います。

コロバシという名前。

水の中から仕掛けを引き上げる時の音。

「入っちゅうろうか」と待つ朝のわくわく。

そういう小さな記憶も、四万十川の文化の一部なのだと思います。

うなぎ釣りや食べ方の関連記事

四万十川のうなぎについて、こちらの記事も参考にしてください。

▶ うなぎ釣り餌のおすすめは、ハヤゴにミミズに、え?コオロギ!
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▶ うなぎ釣りの時期は初夏から秋の暖かい時期、天然うなぎの旬は秋から冬
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▶ こころ旅の火野正平さんも食べた老舗うなぎ屋「うなきち」
https://40010rocco.com/452.html

四万十川のうなぎは、食べ物であると同時に、川の暮らしを伝える存在でもあります。

釣り方、獲り方、食べ方を知ると、四万十川の見え方も少し変わってくるかもしれません。

 

 

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