スエコザサは、植物学者・牧野富太郎博士が、妻の寿衛子さんにちなんで名付けたササです。
朝ドラ『らんまん』をきっかけに、牧野博士と寿衛子さんの物語に興味を持った方も多いと思います。
スエコザサは、ただ珍しい植物というだけではありません。
牧野博士が、長年自分を支えてくれた妻への感謝と愛情を込めて名付けた植物です。
葉の片方がくるりと裏側へ巻く、かわいらしい姿をしています。
高知県内では、高知県立牧野植物園や、牧野博士のふるさと佐川町で見ることができます。
この記事では、スエコザサの特徴、命名の由来、高知県内でスエコザサを鑑賞できる場所を紹介します。
※施設の開館時間、休館日、駐車場、展示場所は変更される場合があります。お出かけ前には、各施設の公式サイトで最新情報をご確認ください。
この記事でわかること
・スエコザサとはどんな植物か
・牧野富太郎博士がスエコザサと命名した理由
・スエコザサの特徴
・高知県内でスエコザサを見られる場所
・牧野植物園、佐川町での鑑賞ポイント
・県外でスエコザサを見られる牧野博士ゆかりの場所
もくじ
スエコザサとは、牧野富太郎博士が妻に捧げたササ

スエコザサは、牧野富太郎博士が発見し、妻の寿衛子さんにちなんで名付けたササです。
牧野植物園の見ごろ情報では、スエコザサは1927年に牧野博士が仙台市で発見し、翌年、病に伏していた妻・寿衛子さんへの感謝を込めて献名した植物と紹介されています。
牧野博士は、日本の植物分類学の基礎を築いた人物です。
しかし、その研究生活は、決して楽なものではありませんでした。
家計を支え、暮らしを守り、博士の研究を支え続けたのが、妻の寿衛子さんでした。
その寿衛子さんの名前を、植物の名前として残したのがスエコザサです。
植物の名前でありながら、夫婦の物語も感じられる、特別なササだと思います。
スエコザサの特徴

スエコザサは、イネ科のササの仲間です。
現在は、アズマザサの変種として扱われています。
特徴として分かりやすいのは、葉の片方が裏側へくるりと巻いていることです。
この葉の巻き方が、とてもかわいらしいです。
ササというと、何となくどれも同じように見えるかもしれません。
でも、スエコザサを近くで見ると、葉の形やしわ、毛のようすなどに個性があります。
葉は細長く、表面には縦にしわが入ります。
じっくり見ると、普通のササとは少し違うことが分かります。
牧野博士がこのササを見て、しばらく動かなかったという話を思うと、植物を見る目の深さを感じます。
スエコザサの名前に込められた思い
牧野博士は、スエコザサを妻・寿衛子さんへの感謝を込めて名付けました。
練馬区の牧野博士に関する資料でも、牧野博士が最愛の夫人をしのび、前年に仙台で発見した新種のササに夫人の名を冠して「スエコザサ」と名付けたと紹介されています。
寿衛子さんは、博士の研究生活を長く支えた人です。
植物を集め、調べ、描き、発表する。
その裏には、家庭を守る人の存在がありました。
牧野博士は、寿衛子さんへの感謝を、植物の名前として残しました。
妻の名前が植物名として残る。
それも、世の中に植物がある限り残る名前として。
とても牧野博士らしい愛情表現だと思います。
牧野博士が墓碑に刻んだ俳句

牧野博士は、寿衛子さんの墓碑に、次の句を刻んでいます。
家守りし妻の恵みやわが学び
世の中のあらん限りやスエコ笹
この2つの句には、寿衛子さんへの感謝が込められています。
自分の学びは、妻が家を守ってくれたおかげで成り立った。
そして、スエコザサという名前が、世の中にある限り残ってほしい。
そんな思いが伝わってきます。
スエコザサを見る時、この句を知っていると、ただの植物ではなく、牧野博士と寿衛子さんの物語を感じられると思います。
高知県内でスエコザサを見られる場所
高知県内でスエコザサを見られる場所として、この記事では次の3か所を紹介します。
- 高知県立牧野植物園
- 佐川町・牧野富太郎ふるさと館
- 佐川町・牧野公園
どの場所も、牧野富太郎博士にゆかりのある場所です。
スエコザサは常緑のササなので、時期を問わず葉を鑑賞しやすい植物です。
ただし、見え方は季節や手入れの状況によって変わります。
新緑のころや雨上がりは、葉の緑がきれいに見えると思います。
① 高知県立牧野植物園
高知県立牧野植物園は、高知市五台山にある植物園です。
牧野富太郎博士の業績を顕彰する施設として知られています。
スエコザサは、牧野植物園の展示館中庭周辺で見ることができます。
牧野植物園の公式サイトでは、展示館中庭に牧野博士が命名した植物や植物図に描いた植物など、博士ゆかりの植物約250種類を植栽していると案内されています。
また、牧野植物園の見ごろ情報では、スエコザサの植栽エリアは「展示館 中庭/周辺」とされています。
牧野植物園でスエコザサを見るなら、展示館周辺をゆっくり歩いてみてください。
大きく目立つ花ではありませんが、牧野博士ゆかりの植物として、静かにそこにあります。
高知県立牧野植物園の情報
名称:高知県立牧野植物園
住所:高知県高知市五台山4200-6
見られる場所の目安:展示館中庭周辺
公式サイト:高知県立牧野植物園
※開園時間、休園日、駐車場、シャトルバス情報は変更される場合があります。訪問前に公式サイトでご確認ください。
② 佐川町・牧野富太郎ふるさと館
牧野富太郎ふるさと館は、高知県高岡郡佐川町にある施設です。
牧野博士の生家跡地に建つ資料館で、博士の遺品や直筆の手紙、原稿などを展示しています。
佐川町は、牧野博士が生まれ育った町です。
スエコザサを見るだけでなく、博士のルーツにふれられる場所でもあります。
ふるさと館では、入り口付近などでスエコザサを見ることができます。
私が訪れた日は、雨に濡れたスエコザサがとてもきれいでした。
葉の緑がしっとりとして、寿衛子さんの名前を持つ植物らしい、やさしい姿に見えました。
牧野富太郎ふるさと館の情報
名称:牧野富太郎ふるさと館
住所:高知県高岡郡佐川町甲1485
営業時間:9:00〜17:00
定休日:月曜日、年末年始
駐車場:観光用駐車場あり
公式情報:さかわ観光協会の公式情報
さかわ観光協会の公式情報では、牧野富太郎ふるさと館は入館無料、9:00〜17:00、月曜休館と案内されています。
※休館日や駐車場情報は変更される場合があります。訪問前に最新情報をご確認ください。

③ 佐川町・牧野公園
佐川町の牧野公園にも、スエコザサが植えられています。
牧野公園は、牧野博士ゆかりの桜の名所としても知られています。
佐川町の「まちまるごと植物園」では、牧野公園は1902年に牧野博士が東京からソメイヨシノの苗木を佐川町に送り、地元有志が青源寺の土手などに植えたことに始まると紹介されています。
公園内には、牧野博士や佐川町にゆかりのある見どころがあります。
春は桜、季節ごとの草花、そして牧野博士ゆかりの植物。
佐川町を歩くなら、ふるさと館と牧野公園をあわせて訪れるのがおすすめです。
牧野公園の情報
名称:牧野公園
住所:高知県高岡郡佐川町甲2458
公式情報:さかわ観光協会・牧野公園
※園内の植物の場所や見頃は変わる場合があります。現地案内や公式情報をご確認ください。

高知県外でスエコザサが見られる場所
高知県外でも、牧野博士ゆかりの場所でスエコザサを見ることができます。
代表的なのが、東京都練馬区の牧野記念庭園です。
牧野記念庭園は、牧野博士が1926年から1957年に亡くなるまで暮らした居宅と庭の跡に整備された庭園です。
練馬区の資料でも、スエコザサは牧野博士が最愛の夫人をしのび、寿衛子さんの名を冠して名付けた植物として紹介されています。
そのほか、仙台市野草園や東北大学植物園、京都府立植物園などでもスエコザサを見ることができるとされています。
ただし、植物の展示状況は施設によって変わるため、訪問前に確認するのがおすすめです。
スエコザサを見る時のポイント
スエコザサは、派手な花が咲く植物ではありません。
一見すると、普通のササに見えるかもしれません。
でも、近くで見ると、葉の片方がくるりと巻いているところが分かります。
写真を撮る時は、葉の形が分かるように、少し近づいて撮るのがおすすめです。
雨上がりや曇りの日は、葉の緑がしっとり見えます。
光が強すぎる日よりも、やわらかい光の方が、葉の質感がきれいに写るかもしれません。
ただし、植物園や公園の植物には、むやみに触らないようにしましょう。
近くで観察し、写真を撮る時も、まわりの植物を踏まないよう注意したいですね。
スエコザサは、牧野博士と寿衛子さんの物語を伝える植物
スエコザサは、小さなササです。
でも、その名前には大きな物語があります。
植物を愛し、歩き続け、調べ続けた牧野富太郎博士。
その博士を支えた妻・寿衛子さん。
そして、妻への感謝を植物の名前として残した博士の思い。
スエコザサを見ると、その物語が静かに伝わってくるようです。
高知県立牧野植物園や佐川町を訪れる時は、ぜひスエコザサも探してみてください。
派手ではありませんが、牧野博士の人生を知るうえで、とても大切な植物だと思います。
牧野富太郎博士・らんまん関連記事
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▶ 牧野富太郎博士の「赭鞭一撻」と「結網子」とは?意味と生き方をわかりやすく解説
スエコザサを知ってから牧野植物園や佐川町を訪ねると、展示や植物の見え方が少し変わると思います。