予土線のしまんトロッコに乗るなら、ぜひ見てほしい沿線の風景があります。
四万十川、沈下橋、山あいの集落、鉄道橋、そして四国で唯一のループトンネルがある川奥信号場。
しまんトロッコは、派手な観光列車ではありません。
でも、ゆっくり走る列車の窓から見える景色は、本当に味わいがあります。
私は地元ガイドとして、しまんトロッコに乗るお客様へ沿線案内をすることがあります。
何度見ても、四万十川沿いを走る予土線の風景には、やっぱり心を動かされます。
この記事では、しまんトロッコに乗る前に知っておくと楽しい、予土線沿線の絶景ポイントを紹介します。
※列車の運行日、時刻、座席、車両、見える方向は変更される場合があります。乗車前にはJR四国などの最新情報をご確認ください。
この記事でわかること
・しまんトロッコ沿線で見たい絶景ポイント
・川奥信号場とループトンネルの見どころ
・車窓から見える沈下橋
・土佐大正〜土佐昭和間の四万十川の景色
・三島の中州と鉄道橋の撮影ポイント
・しまんトロッコをより楽しむコツ
もくじ
しまんトロッコは四万十川沿いをゆっくり走る観光列車
しまんトロッコは、JR四国の予土線を走る観光列車です。
予土線は、高知県の窪川駅と、愛媛県の宇和島駅を結ぶローカル線です。
※正式には予土線は若井駅から宇和島駅までの路線ですが、しまんトロッコは窪川駅発着で案内されることが多いため、この記事では旅行者目線で窪川駅から紹介しています。
その中でも、四万十川に沿って走る区間は、車窓の美しさが大きな魅力です。
しまんトロッコは、時速もゆっくりめ。
がったんごっとんと素朴に走る列車に揺られながら、四万十川の流れや山の緑を楽しめます。
大きな観光地を次々に巡る旅ではなく、列車に乗っている時間そのものを味わう旅。
それが、しまんトロッコの良さだと思います。
しまんトロッコでガイドをしている私が、「ここを見てもらいたい!」と思う、予土線の絶景ポイントです。
川奥信号場|四国で唯一のループトンネルがある分岐点

最初に紹介したいのが、川奥信号場です。
川奥信号場は、予土線と土佐くろしお鉄道中村線の分岐点にあたる場所です。
ここには、四国で唯一のループトンネルがあります。
列車に乗っていると、線路が不思議な動きをしているように感じる場所です。
ただし、ここは見どころが少し忙しいです。
左を見たり、右を見たりしているうちに、あっという間に通り過ぎます。
のんびりしていると見過ごしてしまうかもしれません。
鉄道好きの方には、かなり面白いポイントです。
予土線と土佐くろしお鉄道の境目を感じられる、ちょっと特別な場所です。
▶ JR四国予土線と土佐くろしお鉄道中村線の分界点、川奥信号場から見下ろす線路とループトンネルの入り口
向弘瀬橋|しまんトロッコから見える沈下橋

窪川駅を出て、四万十川の中流域に入ってすぐ、車窓から見えてくるのが向弘瀬橋です。
通称、弘瀬の沈下橋とも呼ばれています。
国道からは見えにくい場所にあるため、車で通るだけでは気づきにくい橋です。
でも、予土線に乗ると、この橋のすぐ横を通ります。
お天気の良い日には、四万十川の川面がきらきらと光り、沈下橋の姿もきれいに見えます。
しまんトロッコの車窓から見るには、とても良いポイントです。
派手な観光名所というより、四万十川らしい静かな風景。
私は、この素朴さがとても好きです。
向山橋|丸みのある形が美しい上岡の沈下橋

次に紹介したいのが、向山橋です。
通称、上岡の沈下橋とも呼ばれています。
この橋は、私がとても好きな沈下橋のひとつです。
橋の形が少し丸みを帯びていて、飛行機の翼のようにも見えます。
四万十川に架かる沈下橋は、それぞれに表情があります。
向山橋は、その中でもやわらかい雰囲気のある橋だと思います。
私にとっては、この周辺の川で釣りをした思い出もあり、個人的にも印象に残っている場所です。
NHK BSの「にっぽん縦断こころ旅」でも紹介されたことがあります。
車窓から見える時間は短いですが、四万十川と沈下橋の組み合わせを楽しめるポイントです。
▶ NHKBS「にっぽん縦断こころ旅」ディレクターズカット版の「上岡の沈下橋」
土佐大正〜土佐昭和間|四万十川が右に左に見える区間

土佐大正駅を過ぎ、土佐昭和方面へ向かう区間は、予土線らしさを強く感じる場所です。
このあたりでは、トンネルを抜けるたびに、四万十川が右に見えたり、左に見えたりします。
なぜそんなことが起きるのか。
理由は、四万十川が大きく蛇行しているからです。
四万十川は山あいをくねくねと曲がりながら流れています。
一方、予土線の線路は、トンネルを使いながら比較的まっすぐ進みます。
そのため、列車は蛇行する川を何度も横切るように走ります。
まるで、川を串刺しにするように線路が進んでいるようにも見えます。
この区間は、四万十川の地形と予土線の線路の面白さを感じられる場所です。
車窓を見ていると、「さっきまで左にあった川が、今度は右にある」と不思議に思うかもしれません。
その不思議さも、予土線の楽しさです。
▶ 高知県 四万十川の不思議について。トンネルを越える度に右に見えたり左に見えたり
新谷橋|茅吹手の沈下橋と広い川原の風景

新谷橋は、通称・茅吹手の沈下橋とも呼ばれています。
広い川原と、ゆったり流れる四万十川が魅力の場所です。
このあたりは、撮影スポットとしても人気があります。
しまんトロッコと沈下橋、そして四万十川の流れ。
うまくタイミングが合えば、四万十川らしい写真が撮れる場所です。
列車から眺めるのも良いですが、外から列車を撮影する場所としても知られています。
四万十川の広がりを感じられる、気持ちの良いポイントです。
▶ 加山雄三さんがポスター撮影に訪れた茅吹手沈下橋のそばをしまんトロッコが走ります
三島の中州|2つの沈下橋と鉄道橋がある撮影スポット

しまんトロッコ沿線の中でも、特に人気の撮影スポットが三島の中州です。
ここには、第一三島橋と第二三島橋という2つの沈下橋があります。
さらに、抜水橋や鉄道橋もあり、いくつもの橋が集まる珍しい場所です。
国道側から見ると、緑色の鉄道橋をしまんトロッコが渡る姿を見ることができます。
四万十川の中州、沈下橋、鉄道橋、そしてトロッコ列車。
これが一度に見られるので、写真を撮る方にも人気があります。
私も、三島の中州周辺の風景はとても好きです。
天気の良い日はもちろんきれいですが、雨の日の思い出もあります。
以前、三島のトンネルを越えたあと、スコールのような大雨に遭ったことがありました。
トロッコ列車は天候の影響も受けます。
だからこそ、晴れの日の川の青さも、雨の日の迫力も、どちらも強く記憶に残ります。
▶ 雨の日も運行、しまんトロッコ 突然の雷雨、三島の中州でトロッコはどうなった?
イラストで見る三島の中州

三島の中州は、写真で見ても楽しい場所ですが、イラストにすると位置関係が分かりやすくなります。
2つの沈下橋、鉄道橋、川の流れ。
かわいい絵になるほど、地形としても面白い場所なのだと思います。
以前、美倭子企画さんの優しいイラストで、予土線3兄弟や三島の中州が絵はがきになりました。
鉄道好きだけでなく、四万十川の風景が好きな方にも見てほしいイラストです。
▶ かわいい絵はがきになった予土線3兄弟、美倭子企画さんの優しいイラスト
しまんトロッコを楽しむコツ
しまんトロッコに乗る時は、ただ座っているだけでも楽しいです。
でも、少しだけ沿線のポイントを知っておくと、車窓の見え方が変わります。
おすすめは、次のような楽しみ方です。
・窓の外をこまめに見る
・沈下橋が見える場所を意識する
・四万十川が右に見えたり左に見えたりする理由を楽しむ
・川奥信号場の分岐やループトンネルを見逃さない
・三島の中州では橋の多さに注目する
・天気による川の色の違いを見る
しまんトロッコは、ゆっくりした列車です。
でも、見どころは意外と次々にやってきます。
特に沈下橋や川奥信号場は、見ているうちにすぐ通り過ぎてしまいます。
気になる場所が近づいたら、少し早めに車窓を見ておくとよいです。
予土線の風景は、何度見ても飽きない
予土線沿いの四万十川の風景は、季節や天気によって表情が変わります。
春のやわらかい緑。
夏の強い日差しと川遊びの風景。
秋の澄んだ空気。
雨のあとの増水した四万十川。
同じ場所でも、見るたびに違います。
だから、絶景ポイントを「厳選」しようとしても、正直、どんどん増えてしまいます。
しまんトロッコに乗るたびに、
「ああ、ここも紹介したい」
と思う場所が出てきます。
それくらい、予土線と四万十川の風景には魅力があります。
しまんトロッコに乗るなら、沿線の物語も楽しんでほしい
しまんトロッコの乗車時間は、ただの移動時間ではありません。
四万十川の流れ、沈下橋、山あいの集落、鉄道橋、トンネル。
そのひとつひとつに、地元の暮らしや鉄道の歴史があります。
私たち地元ガイドも、しまんトロッコに乗ってくださるお客様に、できるだけ沿線の魅力を伝えたいと思っています。
素朴な列車に揺られながら、四万十川の自然と、予土線の面白さを味わっていただけたらうれしいです。
しまんトロッコの予約方法や座席、時刻表については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
▶ しまんトロッコの予約や座席・時刻表|四万十川沿いを走る観光列車を紹介
予土線・しまんトロッコ関連記事
予土線やしまんトロッコについては、こちらの記事も参考にしてください。
▶ JR四国予土線と土佐くろしお鉄道中村線の分界点、川奥信号場
予土線の旅は、目的地に着くまでの時間そのものが魅力です。
しまんトロッコに乗る時は、ぜひ四万十川沿いの風景をゆっくり楽しんでください。