4月に入ると、四万十川でも本格的なうなぎ漁の季節を迎えます。
川漁をする人たちは、この時期になると、仕掛けや餌の準備で忙しくなります。
うなぎ釣りやうなぎ漁の餌と聞くと、まず思い浮かぶのはミミズかもしれません。
でも、四万十川では、ハヤゴや川エビ、時にはコオロギを餌にする話も聞きます。
「えっ、コオロギでうなぎが釣れるの?」
と思うかもしれませんが、地元ではそんな話もあります。
今回は、四万十川で聞いたうなぎ釣り・うなぎ漁の餌について、地元目線で紹介します。
※四万十川でうなぎを獲るには、地域ごとの漁業ルールや鑑札が必要です。この記事は、四万十川の川漁文化を紹介するもので、無許可での漁をすすめるものではありません。実際に釣りや漁をする場合は、必ず該当する漁協などで確認してください。
この記事でわかること
・四万十川で使われるうなぎ釣りの餌
・ハヤゴがうなぎ餌に使われる理由
・ミミズやカンタローの話
・コオロギでうなぎを釣った地元の話
・うなぎが餌に反応しやすい理由
・四万十川でうなぎを獲る時の注意点
・うなぎ関連記事
もくじ
うなぎ釣りの餌には何を使う?
うなぎ釣りやうなぎ漁の餌には、いろいろなものが使われます。
四万十川周辺でよく聞くのは、
・ハヤゴ
・ミミズ
・川エビ
・川の小魚
・コオロギ
などです。
うなぎは夜行性で、匂いに敏感な魚です。
そのため、餌の匂いに誘われて動くことがあります。
ただし、どの餌が一番よいかは、漁法や場所、人によっても違います。
「ミミズが一番」という人もいれば、「ハヤゴがよく食う」という人もいます。
こういう話を聞くのも、四万十川の川漁文化のおもしろいところです。
ハヤゴはうなぎ漁でよく使われる餌

ハヤゴは、四万十川でよく見かける川魚です。
地域によっては、ハヤンボと呼ぶこともあります。
イダ、オイカワ、ウグイなど、動きの速い中型の川魚をまとめてハヤゴと呼ぶことがあります。
四万十川でも身近な魚で、昔からうなぎ漁の餌として使われてきました。
特に、はえ縄漁でうなぎを狙う時に、ハヤゴを使うという話をよく聞きます。
ハヤゴを切って針につけ、川に仕掛けるのです。
見た目は少し生々しい漁法ですが、大きなうなぎを狙うには食いつきが良いと言う人もいます。
川で獲れた魚を餌にするというのも、自然な流れなのかもしれません。
うなぎは匂いに敏感なので、その川で獲れた魚の匂いに反応しやすいとも言われます。
ミミズはうなぎ餌の定番
うなぎの餌として、昔からよく使われるのがミミズです。
コロバシ漁の餌としても、ミミズは定番です。
この時期になると、畑に行ってミミズを集める人もいます。
少し苦手な方もいるかもしれませんが、天然うなぎを狙う人にとっては大事な餌です。
私が小さいころ、釣り好きの父に、
「ミミズを取ってきたら100円で買うよ」
と言われたことがあります。
弟や近所の男の子たちは、100円に釣られて、バケツとスコップを持って畑へミミズを掘りに行っていました。
今思うと、これも川の暮らしの一部だったのかもしれません。
カンタローという大きなミミズを使う人もいる
ミミズの中でも、地元で「カンタロー」と呼ばれる大きなミミズを餌に使う人もいます。
正式には、シーボルトミミズといわれる大きなミミズです。
体長が20センチから30センチほどになることもあり、初めて見るとかなり驚きます。
体の色は紫色を帯びていて、普通のミミズとは雰囲気が違います。
地元では、
「カンタローはうなぎにえい」
と言う人もいます。
ただし、大きすぎて苦手という漁師さんもいます。
たしかに、うなぎをさばいた時に、そんな大きなミミズがお腹にいたら驚きますよね。
ミミズが苦手な方には少し刺激が強い話ですが、これも四万十川周辺で聞くうなぎ漁の餌のひとつです。
カンタローについては、こちらの記事でも紹介しています。
コオロギでうなぎを釣った話

うちの主人は、子どものころ、コオロギでうなぎを釣っていたそうです。
最初に聞いた時は、
「えっ、コオロギ?」
とびっくりしました。
でも、うなぎは雑食性の魚です。
川の中では、小魚やエビ、虫など、いろいろなものを食べます。
竿の先の針に虫をつけると、それに食いつくこともあるそうです。
もちろん、今ではあまり聞かない方法かもしれません。
でも、子どものころの遊びや川の経験として、こういう話が残っているのは面白いですね。
四万十川のうなぎ釣りには、教科書通りではない、地元の知恵や経験がたくさんあります。
うなぎは匂いに敏感な魚
うなぎは匂いにとても敏感な魚だと言われます。
うなぎ獲りの名人に聞くと、小魚を餌にする時も、その川で獲れた魚を使うことがあるそうです。
うなぎは不自然な匂いを警戒するとも言われます。
新しい仕掛けや、いつもと違う匂いには慎重になるのでしょうね。
夜行性のうなぎは、昼間は岩の下や穴の中でじっとしています。
日が暮れると、餌を求めて動き出し、浅瀬に上がってくることもあります。
ただ、どこでうなぎが釣れるかを見つけるのは簡単ではありません。
だから、漁師さんは、うなぎが獲れる場所をあまり人に教えません。
川の流れ、深さ、匂い、餌。
そうしたものを経験で見ているのだと思います。
コロバシ漁ではミミズや小魚を入れる
四万十川には、コロバシと呼ばれるうなぎの仕掛けがあります。
コロバシは、うなぎを獲るための仕掛け筒です。
夕方に川へ仕掛け、翌朝に引き上げます。
中にミミズや小魚などの餌を入れて、うなぎを誘います。
一度中に入ると外へ出にくい構造になっているため、地域によっては「地獄漁」と呼ばれることもあるそうです。
少し怖い名前ですが、仕掛けの特徴をよく表しています。
コロバシについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
▶ 四万十川のうなぎ漁「コロバシ」とは?仕掛け筒で獲る伝統漁法と地獄漁の名前の由来
天然うなぎはお腹が黄色い?
四万十川で獲れる天然うなぎは、お腹が黄色っぽいと言われることがあります。
実際に生きている天然うなぎを見ると、お腹のあたりが黄金色のように見えるものがあります。
もちろん、見た目だけで簡単に判断できるものではありません。
ただ、地元では昔から、
「天然は腹が黄色い」
という言い方を聞きます。
以前、トロッコガイド仲間の方が、
「はえ縄で大きな天然うなぎが獲れてね」
と写真を見せてくれたことがあります。
開いたら幅が7センチほどあったそうで、かなり大きなうなぎでした。


そんな天然うなぎを、手作りのたれで蒲焼きにして、あたたかいご飯にのせたら……想像するだけでお腹がすいてきます。
四万十川でうなぎを獲るには鑑札が必要
ここは、とても大事です。
四万十川でうなぎを獲るには、地域ごとのルールや鑑札が必要です。
うなぎだけでなく、鮎などを獲る場合にも、漁業権やルールがあります。
勝手に仕掛けを入れたり、無許可で獲ったりすることはできません。
実際にうなぎ釣りやうなぎ漁をする場合は、必ずその場所を管轄する漁協や関係機関に確認してください。
川の恵みをいただくには、川のルールを守ることが大切です。
天然うなぎを食べたい方へ
四万十川の天然うなぎを食べてみたい方もいると思います。
ただ、天然うなぎはいつでも手に入るものではありません。
漁の時期や天候、川の状況にも左右されます。
また、天然ものは数にも限りがあります。
以前、トロッコ仲間のTさんが、漁の許可と販売の許可を持っていて、夏の間に獲れた天然うなぎをさばいて販売していました。
タレも自家製で、うなぎの骨を焼いて出汁をとり、地元の日本ミツバチのはちみつを入れる秘伝の味だそうです。
現在の販売状況は、その時々で変わると思います。
購入したい方は、最新情報を確認してください。
うなぎのたれや食べ方の関連記事
四万十川のうなぎや、うなぎ料理についてはこちらの記事も参考にしてください。
▶ うなぎのたれの作り方|家にある材料で簡単・コツはひとつまみの塩
▶ 川漁師さん直伝!うなぎのタレの作り方|骨とはちみつで本格的な味に
▶ 四万十川のうなぎ漁「コロバシ」とは?仕掛け筒で獲る伝統漁法と地獄漁の名前の由来
▶ うなぎ釣りの時期は初夏から秋の暖かい時期、天然うなぎの旬は秋から冬
四万十川のうなぎは、食べるだけでなく、餌、漁法、仕掛け、たれの作り方まで含めて、地域の食文化なのだと思います。