朝ドラ『らんまん』9週に、ヒルムシロという水草が登場します。
蛭が乗っかって休む蓆のような葉の形から、ヒルムシロと呼ばれる植物です。
面白い名前の植物ですね。
ヒルムシロとはどんな植物なのでしょうか?
特徴や花言葉などを調べてみました。
「らんまん」のネタバレも含みます。
ご了承ください。
ヒルムシロの特徴
学名 | Potamogeton distinctus |
和名 | ヒルムシロ、ヒルナ、サジナ |
分類 | 単子葉類ヒルムシロ科ヒルムシロ属 |
分布地 | 在来種は日本全土 朝鮮、中国、ロシア、ブータン、ネパール、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン |
花期 | 6~10月 |
花言葉 | 「清らかな愛」「清純な心」「思いやり」 |
ヒルムシロは、池や水田、小川などに生育する多年生の水生植物です。
水中には線状の水中葉があり、水面には水をはじく楕円形の葉を水面に浮かせます。
水中の葉は、水の上に浮かぶ葉より細く小さめです。
細長い浮き葉の形は、流水条件に適応して生育するための形といえます。
普通の草と同じく根をはり、葉をもたげて生育します。
土壌が十分湿っていれば水陸両用で植生します。
分布地
ヒルムシロは寒帯から熱帯まで、世界の幅広い地域に分布します。
日本では、さまざまな種類が全国各地に生息します。
しかし近年は、各地で生息数が減っています。
農薬の使用、水質汚濁、生息地の埋め立てなどの環境破壊が原因と言われています。
花期
花期は6~10月です。
開花時になると、穂が水面から出て直立し、花が終わると横向きになって水中に入ります。
越冬時
秋になると茎の先は膨らんで芋状となり、越冬芽を形成します。
和名の由来
和名の由来は、蛭(ヒル)のいる池や田んぼに繁殖していたこと、蛭が乗っかって休むような葉の形をしていることから、蛭蓆(ヒルムシロ)と呼ばれるようになりました。
花言葉
ヒルムシロの花言葉は、とても素敵です。
- 清らかな愛
- 清純な心
- 思いやり
清楚で優雅なヒルムシロの姿形から、純粋さや清らかさ、思いやりといった花言葉が付けられています。
まとめ(ネタバレあり)
第9週ヒルムシロの章で、恋に悩む主人公の万太郎を十徳長屋の女性たちが励まします。
その中に、小料理屋に勤める宇佐美ゆうという女性がいます。
ゆうは万太郎が採集してきた水草を見て、懐かしそうに「ヒルムシロ」と言い、万太郎を驚かせます。
ゆうの故郷である北陸能登では、蛭が乗っかている筵のような形から、ヒルムシロと呼んでいたのでした。
「ヒルムシロ」は、ゆうにとって故郷で経験した苦い初恋の思い出深い植物でした。
主人公のモデルとなった牧野富太郎博士は、若い頃(18歳~20歳)に書き記した15の心構え『赭鞭一撻』(しゃべんいったつ)を記しました。
その中で牧野博士は、子どもや婦人、農夫など市井の人たちが言う植物の呼び名を大事にするよう述べています。
十三、迩言(じげん)を察するを要す
牧野博士の「赭鞭一撻」
━ 一般の人が使う名前や呼び名から推測することも必要である━
職業や男女、年齢のいかんは植物知識に関係ありません。植物の呼び名、薬としての効用など、彼らの言うことを記録しなさい。子供や婦人や農夫らの言う、ちょっとした言葉を馬鹿にしてはなりません。
地域に残る植物の知識を大切にされる牧野富太郎博士の一端が、『らんまん』の中でもみられましたね。
恋に悩む万太郎の今後の展開が楽しみです。