仁淀川町の鳥形山で行われた植物観察会「秋の鳥形山ウォーキング」バスツアーに参加しました。
日時は2022年10月12日(水)で、仁淀ブルー観光協議会主催です。
鳥形山は朝ドラ『らんまん』のモデルである牧野富太郎博士が、何度も足を運んで植物採集をした場所です。
貴重な高山植物のトリガタハンショウズル、ヤマトグサ、シコクブシなどが植生する標高1.346mの山です。
初学者が1人で行っても貴重な植物がどこにあるのか分からないものですが、ツアーなら地元のことや植物にくわしいガイドさんがいるので、じゅうぶんに鳥形山を満喫することができます。
参加したツアーの概要と服装や持ち物、注意点などを紹介します。
50代の私でもムリのない内容でしたので、登山初心者や初学者のかたにもおすすめです。
ツアーの概要
私が参加したツアーは、高山植物の宝庫である秋の鳥形山を植物観察しながらゆっくりと約1時間ほどかけて登り、展望台で昼食(地元のお弁当)をみんなで食べて、またゆっくりと下山するという内容です。
今回のツアーを仁淀川町観光協会のSNSで知って、申し込みを(一社)仁淀ブルー観光協議会にしました。
仁淀川流域ではそれぞれの市町村に観光協会があり、その上に旅行業務資格を有する(一社)仁淀ブルー観光協議会がツアーを企画・実施しています。
仁淀川流域のさまざまなジャンルの楽しいツアーが組まれているので、ぜひHPをのぞいてみてください。
参考:『仁淀ブルー体験博』公式
今回参加したツアーの概要は以下のとおりです。
名称 | 秋の鳥形山ウォーキング(※日帰りモニターバスツアー) |
日時 | 2022年10月12日(水)9:30~15:00 |
募集人数 | 15名(最小催行人数8名) |
費用 | 4,000円(お弁当付き)(※費用は変わる可能性あり) |
集合場所 | 仁淀川町 旧吾川中学校グラウンド(※ここから鳥形山までバスで移動・約50分) |
添乗員 | 無し、ガイド2名参加+案内人参加 |
食事 | 昼食(お弁当付) |
企画・実施 | (一社)仁淀ブルー観光協議会 |
協力 | 仁淀川町観光協議会、仁淀川町の観光を考える会 |
行程
- 9:30集合
仁淀川町 旧吾川中学校グラウンドに集合
- 9:40バスで移動(約50分)
- 10:30鳥形山森林植物公園の駐車場に到着
観察会開始/林内歩道を登山 - 12:00展望台で昼食・休憩(約40分)
下山しながら植物観察 - 14:00バスで移動(約50分)
- 15:00朝と同じ場所に到着・解散
鳥形山とは
高知市から45㎞ほど西にある仁淀川町の鳥形山は、四国山脈に連なってそびえる山です。
名前の由来
名前の由来は、鳥が翼を広げたように見えることからという説と、また太古の大津波の時に波の上に鳥の形をした山だけが残って見えたとの伝承が残されているという説(大野勇著「故山帖」)によります。
石灰鉱山
鳥形山は四国カルストから続く良質な石灰岩を含む秩父古生層の山です。
昭和46年から日興工業(株)が事務所と採掘場を擁し石灰開発がすすみ、現在も日本一の露天掘り産出量を誇っています。
四国カルストの一翼として県立自然公園に属していましたが、石灰鉱山としての開発にともない県立公園の指定は解除されました。
石灰岩を採掘している山は開発前の標高が1,459mありましたが、今は約200mほど低くなっています。まだ100年ほど石灰が採れる場所ともいわれています。
鳥形山森林植物公園
開発と自然保護という悩ましい状況ですが、自生する植物や群生林を保護するために鳥形山森林植物公園が造られ、遊歩道や展望台が整備されています。
植物観察会は、おもに鳥形山森林植物公園にある林内歩道から山頂展望台までの登山道で行われます。
公園の駐車場は標高が1,200m、山頂展望台は1,342mですので、標高差140mほどを登る初心者向きの登山道です。
当日の様子
当日のツアーの様子を紹介します。
集合は午前9:30、仁淀川町役場の近くにある旧吾川中学校グランウンドでした。
高知市からだと仁淀川町までは車で約1時間ほどです。
仁淀川町にJRの鉄道はなく公共交通で行くには不便なため、自家用車かレンタカーの利用になります。
駐車場に入る国道沿いに、観光協会のスタッフさんが看板を持って立っていたのですぐに分かりました。
グラウンドに公衆トイレがありますので、乗る前に利用しておくとよいですね。
集合して主催者からの説明、ガイドさんや参加者の自己紹介がありバスに乗り込みました。
ここから鳥形山までバスで50分ほどかかります。
鳥形山までバス移動
バスの中で、事前に鳥形山で現地確認をしている案内人の先生からお話がありました。
案内人の先生は、希少植物にくわしい農学博士の寺峰先生です。
先生ご自分が撮影した写真や、関わった植物の本を見せてくれながら説明をしてくれました。
今日見ることのできる植物は以下のものがあるようです。
シラネセンキュウ、シコクブシ、ハナホウキダケ、シオガマギク、シコクスミレ、ミヤマモジズリ、など
シラネセンキュウ(白根川弓)は、セリ科シシウド科の多年草です。花期は9月~11月で、ちょうど実になっている頃とのことです。
シコクブシ(四国附子)は、四国に特産するトリカブトの一種で全草に毒性があります。青く美しい花が白色に変わります。
ハナホウキダケ(花箒茸)にも毒性があり、間違えて食べると下痢をするそうです。
バスの中で植物についていろんなお話を聞くことができて、これから見られるであろう植物にワクワクしてきました。
希少植物の詳しい本『日本の絶滅危惧植物図鑑』2冊シリーズの紹介もありました。
鳥形山森林植物公園に到着
バスで約50分ほどかけて、鳥形山森林植物公園の駐車場に到着しました。
きのうまで雨が降っていましたが、今日のお天気は寒くもなく暑くもなく植物観察会にはもってこいです。
駐車場には公衆トイレがありますので、登山の前に利用させていただきましょう。
★ギャラリー1(駐車場近辺の写真)
駐車場近くに、ずいぶん古くなった林内歩道の案内看板がありました。
案内看板から舗装された道路をさらにあがっていくと、入り口と書かれた木製の看板があります。林内歩道の入口は2つあります。
1つめに小さな木製の目印があります。もう一つの入り口は、鳥居のあるところです。
★ギャラリー写真2(林内歩道の案内看板)
立ち入り禁止の場所まで行くと林内歩道の入口を2つとも過ぎています。バックして入口を探してくださいね。
今回の観察会では、鳥居のある林内歩道入口から登り始め山頂展望台まで行きます。
林内歩道
鳥形山には多くの植物が植生していますが、観察会で見られた秋の植物(一部)を紹介します。
★ギャラリー写真3(鳥形山の植物)
林内歩道をゆっくりと植物を観察しながら上っていきます。
といっても、初学者の私はまったく植物の名前は分かりません。
ガイドの方や案内人の先生が所々立ち止まって、名前や特徴などを教えてくれます。
歩道は狭いため、案内を聞いた人が後ろの人に伝達ゲームみたいに名前を伝えていき、それが面白かったです。
みんな手持ちのスマホやカメラで写真を撮っていました。
山頂展望台までの距離は500mもないくらいですが、傾斜のある細い道ですのでゆっくりと時間をかけて登りました。
山頂展望台
山頂展望台に到着すると石灰の採掘場がよく見えます。
ちょうど発破をかける時間帯で、煙が上がっているのが見えました。
展望台は階段や踊り場など含め、20名くらい上がっても大丈夫でした。
ここで仁淀川町観光協会さんが用意してくれたお弁当を食べます。
それぞれが腰を下ろして食事をとりました。
ゆっくりとはいえ山を1時間ほど登ってきたのでお腹も空いていて、お弁当がとても美味しかったです。
360度見渡せる展望台からは、太平洋や愛媛県側の方向にある山々が見えます。
山頂展望台には大きな円形のテーブル状の地図があるので、方角や山の名前を確認しながら望むことができます。
昼食と休憩が済んだら、植物を観察したり写真を撮ったりしながら下山します。
帰りのバスの中では、仁淀川町のガイドグループの方が牧野富太郎博士が発見した新種の植物についてお話してくれました。
牧野博士は高知県内で143種の新種を発見していますが、そのうち仁淀川町では45種を発見されているそうです。
その理由が、2つあると話されていました。
- 石灰岩質の珍しい地質に植物が植生していること
- 仁淀川地域の協力者の存在が大きいこと
なるほど、仁淀川地域の特別な事情が牧野博士の研究に大いに役立っているのですね。
今回の「秋の鳥形山ウォーキング」は、バスの中でのお話しとともに現地での実際の植物観察会があり、とても充実した内容でした。
注意点
鳥形山の植物観察会に参加して気づいた注意点を紹介します。
禁止事項
まず当然のことですが、鳥形山の植物や石などの持ち帰りは禁止されています。
ほとんどの植物愛好家のかたは常識をもって行動する方ばかりですが、なかには自分勝手に植物を持ち帰ろうとする迷惑な人や団体がいるそうです。
貴重植物は園芸品種と違い、その環境だからこそ植生することができています。
持ち帰ったり傷付けたりしないことが鉄則です。
公園内の看板がリニューアルされました(2023年4月)
看板には、自然保護のため珍しい植物を撮影して場所の特定ができるようなSNS等の投稿は控えてくださいと注意喚起されています。
私も希少な植物を掲載するときは、GPS情報を消すなど特定されないよう気をつけています。
服装や靴
1、服装について
- 足元は運動靴または登山靴
- 長袖、長ズボン
- 防寒用のジャンバー
- 帽子、手袋の着用
鳥形山はの林内歩道は登山初心者でも大丈夫なコースです。
この日は10月、秋の観察会で風もなく良いお天気でしたが、小雨で決行するとなると撥水加工を施した防寒のヤッケやジャンバーがあると良いですね。
うす暗い山の中では、明るい色のジャンバーをおすすめします。
足元は履きなれた運動靴でも十分OKです。
トレッキングシューズだと、安定性があってよいと思います。
2、リュックについて
荷物は両手を防がないようリュックタイプに入れるとよいです。
日帰り短時間の登山なので小さめリュクでOKです。
3、登山用スティックについて
鳥形山の林内歩道はあまりキツくありませんが、必要な方は登山用スティック(トレッキングポール)を準備してください。
4、その他携行した方がよいもの
水分は必携です。
飴などのお菓子があると、休憩時に一息つけますね。
折り畳みの傘を持参している方もいました。
私はスマホで撮影することが多いのですが、肩掛けができるスマホショルダーがあるとスマホを落とす心配がなく便利だと思います。
まとめ
鳥形山には貴重な高山植物が多く植生しています。
牧野富太郎博士が28歳の時に発見・採集した植物は、のちに新種「トリガタハンショウズル」として発表されました。
私は今回の植物観察会の前に、貴重なヤマトグサを見たいと思い、鳥形山まで自家用車で行ったことがあります。
しかし仁淀川町内から鳥形山森林植物公園までの道路は勾配のある狭い道でしたし、林内歩道を歩いても、貴重な植物がどこにあるのか分からなかったです。^^;
季節によってはマムシなどの毒蛇やスズメバチの危険もあります。
そこで利用したいのが、地元の観光協会によるツアーです。
観光協会やガイドさん主催の植物観察会なら、安全に楽しく鳥形山を満喫することができるので、初めていくかたにはおすすめです。
ツアーは日時や定員が決まっており、人気のコースはすぐ満席になるため、早めの予約がおすすめです。なお、冬季の観察会はありません。
仁淀川流域の体験ツアーHP | 仁淀ブルー体験博 |
鳥形山のある仁淀川町観光協会HP | 仁淀川町観光協会 |
地元のガイドグループを紹介しているHP | 仁淀川町の観光を考える会 |
NHK朝ドラ『らんまん』で、きっと鳥形山に興味を持たれる方もいると思います。
地元の観光協会では、今後も鳥形山の自然を楽しんでもらう工夫をされるとのことです。
私もまた訪れたいなと思っています。^^
安全に楽しく、植物を愛でながら牧野ワールドを満喫してくださいね。
朝ドラ『らんまん』に関するニュースやトピックをこちらで紹介しています。
ぜひご覧ください。