四万十川の沈下橋、しまんトロッコから見える向弘瀬橋(むかいひろせばし)通称・弘瀬の沈下橋(ひろせのちんかばし)

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向弘瀬橋 沈下橋

こんにちは。しまんトロッコ1号地元ガイドのよしみです。
写真の橋は、向弘瀬橋(むかいひろせばし)、四万十川に架る欄干の無いコンクリート製の低い橋、沈下橋の一つです。
 
うちの近くにある橋で、国道から外れているため目立たないのですが、嫋(たお)やかにたたずみ、お天気の良い日は、澄んだ青空と深い緑の山々をバックに、キラキラと光る四万十川に映えて、とてもきれいです。私の大好きな沈下橋の一つです。

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予土線しまんトロッコからの眺め

DSC_0604しまんトロッコは、向弘瀬橋のちょうど真横を通り、少し離れたところから、橋の全景が見えてきます。静かで穏やかで、それでいて、生活になくてはならない地元の大切な橋です。

 
ごつごつとした岩がたくさん見えてきます。大きな岩が多いのは、四万十川中流域の特徴です。あの岩の下には、うなぎの寝床があります。初夏の頃には、鮎の群れが苔を食みながら川を上り、そして秋になると鮎が産卵のため、河口へと下って行きます。川漁をする小さな川舟もあちこちに見えてきます。

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四万十川に沈下橋が架けられたわけ

DSC_0597四万十川には、沈下橋(ちんかばし)という欄干(らんかん)の無い、コンクリート製の低い橋がいくつもあります。支流に26橋、本流に21橋、合わせて47橋が管理者が明確に分かっている沈下橋です。そのほか、例えば、自分ちの家の前を流れる小さな川にかかっているような、マイ・沈下橋や、古くてすでに管理者のないものなどを入れると、60~70本の沈下橋があるそうです。そのどれもが特徴があって歴史があるんですよ。
 
普段は、穏やかに流れる四万十川も、大小200から300ほどの支流を持つため、いったん大雨が降るとあっという間に増水し濁流となります。「暴れ川」というのが、四万十川の異名です。
 
ですので、普通の橋ではすぐに壊されて流されてしまうため、昭和の初期から作られ始めたのが沈下橋です。増水時には水中に潜ることを前提とし、橋脚も低く、流木などによる破壊を防ぐために、欄干もありません。
 
よく「欄干がないなんて、怖くないですか?」と聞かれます。大丈夫です!普通車1台は余裕で通れます。でも、歩行者が優先ですから、歩いてる人や自転車の人を先に通ってもらって下さいね。確かに慣れてないと怖く感じますが、増水してなければ、ゆっくりゆっくりいけば大丈夫です。

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とても低い橋、向弘瀬橋(むかいひろせばし)通称:弘瀬の沈下橋

DSC_0599JR窪川駅を出て西へ、若井駅、家地川駅、そして家地川の堰堤(えんてい)=家地川取水堰(いえじがわしゅすいせき)を過ぎると、田んぼや畑が広がるのどかな地域を、予土線しまんトロッコが走ります。ここは、四万十町大正の弘瀬というところです。
 
家地川堰堤(いえじがわえんてい)までが、四万十川の上流域とされ、堰堤から先の下流は中流域となります。
 
ここから、中流域特徴の、ゴツゴツとした大きな岩が川の中に見えてきます。岩の下には、天然うなぎの寝床があり、夏は鮎が群れて泳ぐところです。

 

しばらくすると、川の向こう側に小さな町道が見えてきます。町道から川におりる長い坂道の先に、向弘瀬橋(むかいひろせばし)通称・弘瀬の沈下橋が架かっています。すぐ上流に堰堤(えんてい)があるため、普段は水量が少ないところですが、大雨が降って堰堤からの放水が始まると、橋はあっという間に川の下に沈みます。四万十川に架る沈下橋の中でも、最も低く作られています。
 
この橋は、弘瀬(四万十町弘瀬)という地域と、対岸の弘瀬本村地域とを結んでいます。地元の私たちの生活道であり、夏は子どもたちの川遊びの場所です。

【向弘瀬橋(むかいひろせばし)】

架橋 昭和38年
長さ 62.1m
2.5m
橋脚 9本
通行 4t以下の車可

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夫婦岩と渡し舟と、暴れ川

DSC_0596沈下橋が架けられる以前は、「ジョウホン渡し」と呼ばれていた渡し舟がありました。その渡し舟も、弘瀬側にある大きな岩、夫婦岩(めおといわ)が増水で浸かったら、それを目安にして危険なので渡し舟を中止にしていました。沈下橋が架けられた昭和38年に、渡し舟は廃止されました。
 
穏やかなその流れからは想像できないですが、大雨が降っての増水時には、橋はあっという間に水の下に浸かってしまいます。とても危険です。近づかないようにして下さいね。

 

増水時の怖い経験を、向弘瀬橋の近くに住んでいる60代のKさんから聞いたことがあります。Kさんが嫁いできた頃のお話です。

隣町から実家のお父さんが、娘のKさんの様子を見に来た帰り、増水し水の下に沈みかけていたこの橋を、軽トラで無理やり渡ろうとしたしたそうです。
 
橋の真ん中の辺りを、すでに川の水がチョロチョロと流れ、お父さんは行けるだろうと思い車を進めたそうですが、流れは想像したよりずっと強く、車のタイヤはその流れですべり、あっという間に車ごと川へ流されました。数十メートル流され、幸い、岸に近づいたので、お父さんは車から脱出し、なんとか自力で上がってこれたということです。もちろん車は、そのあと流されてしまったそうです。

 

増水し始めた川は、まるで海の波のように水かさが急に押し寄せてきます。増水中はもちろん、水が引いた後にも河床(かしょう)が変わり、意外に深くなっているいる場合があります。地元の人でも油断すると命を落としかねません。せっかく四万十川に遊びに来られている方が、危険な思いをしたり、悲しい思いをしてはいけませんので、川で遊ぶ時は、近くの人に、今日の川は遊んでも良い川かどうか、様子を聞いて下さいね。きちんと安全面に気をつけていれば、四万十川では楽しい川遊びができます。

 
JR予土線の窪川ー江川崎間では、9つの沈下橋の様子を見ることができます。しまんトロッコでは、それら沈下橋もご紹介しながらガッタンゴットンのんびりと、四万十川の風を受けながら進みますよ。

【特集】予土線 絶景ポイント ~しまんトロッコ1号 沿線の風景~

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