四万十川で獲れる大きな川ガニ「モクズガニ」は、ハサミの部分の黒っぽいふさふさとした毛が特徴です。毛の部分をさわるとフニフニして、見た目もちょっとグロテスク。
でも、味は抜群です。
大きなハサミの中にも身がギュッと入っていて、淡泊なんだけど、しっとりとした旨みがあります。
うちの旦那さんも、小さい頃から大好きです。
特に、甲羅をはぐと出てくるミソ「がにみそ」が好きと言います。
夏から秋が旬ですが、産卵期を迎えると、メスのお腹にはたっぷりの卵をかかえます。
この卵も美味しいです。郷土料理の中でもごちそう級です!
「モクズガニ」名前の由来や生態・生息地
正式名称は、モクズガニ(藻屑がに)、ハサミの部分に藻(も)くずみたいな毛があることから、名前がついています。
たまに、「モズクガニ?」と聞かれますが、いえ違います。→「モクズガニ」です。
この辺りでは、ツガニと言ったり、ガニと言う人もいます。
水場や川岸を「津」というので、ツガニと言うのかなーと私は思ってます。
自然が豊かな四万十川でも昔からよく獲れてました。
甲羅の大きさは、幅が大きなもので8cm位、重さもズシッとしていて180gぐらいのものもたまにいます。
川ガニの中では、もっとも大きな部類です。
ハサミの部分に濃ゆい毛が生えてますが、これが手袋みたいに見えるので、英語では〝Mitten crab”(ミトン クラブ)と言うそうです。
なんか可愛い名前ですね(笑)
色は、生きている時は、全体に黒と緑がかかったような地味な色をしています。
たまーに、真っ白いカニがいますが、脱皮したばかりの時は白いです。茹でると真っ赤になります。
ひっくり返してお腹を見ると、メスとオスの違いが分かります。三角にとがって見える方がオス、まーるい方がメスです。
モクズガニは、北海道から九州、沖縄の川と全国各地に生息しています。
通販でもたまに売っていますが、乱獲をふせぐために獲る時期も決まっていますし、数もそう多くはありません。
獲れる地元ならではの貴重な食材です。
モクズガニの食べ方と調理の注意点
しまんトロッコのガイド仲間のAさんから、「ツガニを煮いたよー。食べるー?」と連絡をもらいました。
もちろん「うん、食べる!食べる!」と二つ返事でいただきました。
生きているカニは黒っぽい色をしていますが、ひとたびお湯に入れるとカニはあっという間に真っ赤かになります。
湯がいたばかりのツガニは、川の香りがして、独特の旨味があって濃厚です。
モクズガニは基本、熱湯で茹でます。
生のままでは食べてはいけません。
なぜなら、確実に雑菌を熱湯で殺し安全に食べる必要があるからです。
ウェステルマン肺吸虫という、肺気腫や気胸を引き起こす肺吸虫(肺臓ジストマ)を持つ可能性があるため、必ずよく火を通します。
調理するにも注意点があります。
菌が飛び散る可能性もあるので、使った容器などはすべて熱湯消毒をして安全を期します。
食べ方としては、ゆで汁は捨てずに、お出しに使い、そうめんの汁、炊き込みご飯、雑炊、みそ汁にします。
特に、芋類と一緒に炊くと旨いです!秋の味です。
何の調味料よりもおいしく出来上がります。主婦としては大助かり。
寒い時は、やっぱり田芋や里芋とすごく合います。
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ツガニのエサや獲り方、生態
モクズガニは雑食性で、川の中の小魚や藻など何でも食べます。
カニを獲る漁師さんは、エサに川魚のハヤゴや、海の魚のサバやアジをぶつ切りをして、カニのかごを漬けて獲ります。
獲ったカニには、かぼちゃを食べさせると、色がきれいになって身が甘くなり、カニミソや卵も旨くなるそうです。
なんか、面白いです。
私が小さい頃は、モズクガニ(ツガニ)はなんぼでも川にいました。
夏から秋が旬の季節です。うちの父も秋になると、カニかごを川に漬けては、獲ってきてました。
しかし、ここ最近は、数も少なく、大きさも小さくなってきてるように思います。
乱獲を防ぐために、今では漁業権がないと、カニ漁はできません。
また、県内ではツガニ漁は、8月1日から11月30日を漁期としていますが、産卵期や遡上の時期に河川でツガニを獲ることを禁止にし、2016年は、12月1日から翌年7月31日まで禁漁となりました。
ツガニがいなくなって困るのは地元民ですから、ここは資源保護のため、そしてツガニの生息を増やしていくために、守っていかなければいけません。
夏、川の上流や中流で過ごし、秋を過ぎるとツガニは繁殖のため卵をもったまま河口の海まで川を下ります。
そして、春になると卵から孵ったカニがまた川を遡上してきます。
同じく鮎もそうですが、川と海とを行ったり来たり、不思議な生態です。山も川も海もきれいだから生息します。
まさに、四万十川の幸です。
「モクズガニ」は、道の駅「よって西土佐」内の鮎市場でも、地元の漁師さんが持ち込んで売買されています。
ただし、時期によって入荷がない場合もあります。地元でもご馳走ですからね。
道の駅よって西土佐のご紹介はこちらです。